プロジェクトについて

世界にはホロコースト、内戦難民、広島、長崎、福島等々、人間によって引き起こされた取り返しの付かない出来事が数多くあります。その中でも公害水俣病の被害は、比類のない惨事でした。

水俣病の公式確認から65年が経過していますが、これまでに多くの被害者が命を脅かされ健康被害を受けています。しかし、水俣病の実態解明は、民間の研究者や調査団、医療関係者による検診や弁護士の聞き取り等の活動に限られ、国による不知火海沿岸住民の総合調査は一度もなされていません。

公式確認から間もなくの1960年には、桑原史成が撮影を開始しました。その後に続いた写真家が、水俣病被害者や地域を対象として膨大な量の撮影記録を残してきました。

この度、水俣病に長期的に係わりをもった9人の写真家が一堂に会し、撮影した写真記録を被害者救済のため、今後このような公害を起こさないため、水俣病のより深い社会科学的、医学的研究等に役立てるため「一般社団法人 水俣・写真家の眼」を発足することといたしました。まずは本日より設立準備会を立ち上げ、2022年5月1日に法人として出発いたします。9人の写真家が持つそれぞれの視点により、60年余に亘って撮影した10万点を超えるカットを一括して保存することを目的とします。多くの人々が水俣病事件を歴史の事実として理解し、鮮明な記憶として継承され活用されることを目指します。

写真1枚1枚が時代を超え、写真家の思惑を超えて見えてくるものや、他者の目を通すことによって見えてくるもの等、これまで気付けなかった多くの発見を内包しているものと期待しています。

私たちは、撮影原版、オリジナルプリント、デジタルデータ、取材ノート等の長期保存が、人類の過ちを検証するために役立つものと確信しています。

芥川仁

アイリーン・美緒子・スミス

石川武志

北岡秀郎

桑原史成

塩田弘美

小柴一良

田中史子

宮本成美

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